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インターフェロン
著者: 佐野恵海子1
所属機関: 1東レ(株)基礎研究所
ページ範囲:P.122 - P.122
文献購入ページに移動 動物体内に,2種のウイルスが感染した場合,どちらか一方,または互いに増殖が抑制される現象が今世紀半ば以前から見いだされていた.この現象は,ウイルス-ウイルス間の干渉現象(interference)と呼ばれ,通常の免疫反応では説明できないものであった.インターフェロン(interferon;IFN)は,この現象の物質的解明への担い手として登場してきた.IFNは,ウイルスや核酸などの刺激を受けた細胞が,細胞外に分泌する2万前後の分子量を持った蛋白質因子であり,同種の細胞に抗ウイルス性を付与する作用を持つ物質である.
1980年に抗原性の違いからα,β,γの3型に分類されたIFNは1990年に新たにω型が認定され4型に分類されている.各タイプのIFNは,抗ウイルス活性には大差はないが,産生細胞や誘発条件,また遺伝子や構造特性,レセプターなどに違いがみられる.その後IFNには,抗ウイルス作用のほかに,細胞増殖抑制作用や抗腫瘍活性,さらに免疫担当細胞の活性化など生体防御機構にかかわるいくつか他の作用もあることが知られるようになり,多面的生物活性を持つサイトカインの1つとして位置づけられるようになった.IFNの作用機構に関する研究は,多面的作用の中でも発見の動機となった抗ウイルス作用について最も進展している.
1980年に抗原性の違いからα,β,γの3型に分類されたIFNは1990年に新たにω型が認定され4型に分類されている.各タイプのIFNは,抗ウイルス活性には大差はないが,産生細胞や誘発条件,また遺伝子や構造特性,レセプターなどに違いがみられる.その後IFNには,抗ウイルス作用のほかに,細胞増殖抑制作用や抗腫瘍活性,さらに免疫担当細胞の活性化など生体防御機構にかかわるいくつか他の作用もあることが知られるようになり,多面的生物活性を持つサイトカインの1つとして位置づけられるようになった.IFNの作用機構に関する研究は,多面的作用の中でも発見の動機となった抗ウイルス作用について最も進展している.
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