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文献詳細

雑誌文献

検査と技術22巻5号

1994年04月発行

文献概要

増刊号 免疫検査実践マニュアル 各論 Ⅱ.腫瘍マーカー

7.CA 125,CA 15-3

著者: 中山年正1

所属機関: 1虎の門病院臨床化学検査部

ページ範囲:P.171 - P.172

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■臨床的意義
 血清CA 125値は未治療卵巣癌の90%以上で陽性率を示し(図1),Ⅰ期・Ⅱ期の初期癌でも50%以上に陽性(>35U/ml)をみる有力な卵巣癌マーカーであり,種々の誤陽性反応に注意して検査値を読めば,早期発見のマーカーとして利用できる.卵巣癌の組織型では漿液性嚢胞腺癌で高値例が多く,ムチン型嚢胞腺癌ではあまり上昇しない.一方,他臓器(胃,膵,胆嚢・胆管,肝,大腸,肺,乳房など)の癌でも多くは数100U/mlと上昇の程度は高くないが,20〜30%の症例で陽性となる.さらに,子宮内膜炎,子宮筋腫,良性の卵巣膿腫などの良性疾患や肝炎・骨折などでも数100U/mlを示すことがあるから注意が必要である.また,血清CA 125値は卵巣癌患者の治療に伴う癌の退縮や進行などの臨床経過において,症状を忠実に反映して変動するので,術後のフォローアップなどにも極めて有効である.
 血清CA 15-3値は転移が認められない初発乳癌では10%程度の陽性率にすぎず,早期診断への有用性はほとんど認められない.一方,転移のある進行性乳癌ではその1/2以上が50U/ml以上の明瞭な高値(カットオフ値>28U/ml)を示すことから転移の有無を監視するのに利用でき,また,術後の乳癌再発や,再発乳癌の治療効果判定にCEAあるいはそれ以上の臨床的相関性があり,進行乳癌のモニタリングに有用である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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