icon fsr

文献詳細

雑誌文献

検査と技術22巻5号

1994年04月発行

文献概要

増刊号 免疫検査実践マニュアル 各論 Ⅴ.自己免疫・アレルギー 2.アレルギー

(2)特異的IgE抗体

著者: 灰田美知子1

所属機関: 1東京大学医学部附属病院物療内科

ページ範囲:P.218 - P.219

文献購入ページに移動
■測定の目的
 アレルギー症状を呈している患者に対し,どのアレルゲンに対し,どの程度のIgE抗体が検出できるかを測定するためにIgE・RAST法,CAP法などがある.総IgEが一般的なアレルギー性疾患,原虫以外の寄生虫感染,木村病,先天性免疫不全症などで上昇するのに対し,IgE・RASTは特異的であり,原因と推定されるアレルゲンに対するIgE抗体値がわかり,患者のその特定のアレルゲンに対する感作状態の目安として利用できる.
 測定可能なアレルゲンの種類は花粉,動物表皮,室内塵,真菌など170種類程度である.本邦で最も陽性率が高いアレルゲンは室内塵中のダニ,スギ・ブタクサ・カモガヤなどの花粉,アスペルギルス・アルテルナリア・カンジダなどのカビ類,また食物アレルゲンでは卵・大豆・牛乳などが大切である.それぞれアトピー型気管支喘息,アレルギー性鼻炎,アトピー性皮膚炎の際,その原因アレルゲンとなっている可能性が高く,これらの原因アレルゲンの検索を行う必要がある場合,皮膚テストまたはRAST法,CAP法などの試験管内検査法で特異IgE抗体の存在を測定する.現在は多くのアレルゲンに対する特異抗体を同時に測定するシステムも利用されている.これらの検査で2+以上の明らかな陽性所見が得られれば,そのアレルゲンが患者の病態に十分関与していると考えられるが,実際,患者の症状の発現に関与しているかについてはアレルゲンによる誘発試験を行う必要がある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?