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文献詳細

雑誌文献

検査と技術22巻5号

1994年04月発行

文献概要

話題

上皮成長因子(EGF)—その受容体とシグナル伝達

著者: 宮田愛彦1

所属機関: 1東京都臨床医学総合研究所細胞生物学研究部門

ページ範囲:P.242 - P.242

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 EGFは雄マウス顎下腺中に,新生マウスの上皮細胞の増殖を促進する物質として見いだされたポリペプチドである.代表的な細胞増殖因子の1つで,さまざまな細胞に対して増殖促進作用を持つ.マウスではアミノ酸1,217個から成る大きな前駆体として合成され,その一部のアミノ酸53個(分子量6,045)がEGFとして分離する.分子内に3本のジスルフィド結合を持つ比較的安定な分子で,立体構造もほぼ明らかにされている.生体内では発生のプロセスにおいてさまざまな上皮細胞の増殖・ケラチン化に重要な役割を担っており,また傷ついた上皮細胞の再生・修復にも関与しているらしい.ヒト尿中のウロガストロンとヒトEGFは同一である.
 EGFの生理作用はEGFが細胞膜表面のEGF受容体に特異的に結合してそのチロシン残基特異的な蛋白質リン酸化(キナーゼ)活性を上昇させ,受容体が自己リン酸化することによって始まる.自己リン酸化した受容体にはホスホリパーゼCγ・GTPase活性化蛋白質(GAP)・ボスファチジルイノシトール3(PI3)キナーゼなどの蛋白質が結合し,これらの酵素の活性化が起こると考えられる.またGRB 2またはAshと呼ばれる一種のアダプター蛋白質を介してSOS蛋白質が受容体に結合し,SOSの作用でRas蛋白質が活性化型となる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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