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文献詳細

雑誌文献

検査と技術22巻5号

1994年04月発行

文献概要

話題

輸血された血液中のリンパ球の反乱—輸血後GVHD

著者: 原宏1

所属機関: 1兵庫医科大学輸血学

ページ範囲:P.300 - P.300

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 輸血後の移植片対宿主病(graft versus host disease;GVHD)は輸血された血液中のリンパ球が受血者の身体の一部を異物と認識し,攻撃する疾患であり,輸血が臓器移植の1つであることを示している.
 最近では,輸血後GVHDは生物学的に個性を異にする輸血された血液中のリンパ球と患者リンパ球の生存を賭けた闘いの結果と理解されてきた.すなわち,輸血されたリンパ球は患者の組織を異物と認識して増殖を開始する.たいていの場合には数のうえで圧倒的に優勢な患者リンパ球が輸血リンパ球を排除している.しかし,まれには細胞性免疫能の低下あるいはHLAなどの組織適合抗原の組み合わせにより,輸血したリンパ球は患者リンパ球を異物と認識できるが,患者リンパ球は輸血したリンパ球を異物と認識できない関係ができると,輸血したリンパ球の一方的な増殖が起こり,輸血後GVHDが発生する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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