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増刊号 免疫検査実践マニュアル 各論 XI.細胞免疫
3.リンパ球幼若化試験
著者: 中尾實信1
所属機関: 1藍野学院短期大学
ページ範囲:P.358 - P.361
文献購入ページに移動 リンパ球の幼若化現象は,1960年Nowellにより初めて報告された.形態上,リンパ芽球に酷似した変化は,細胞分化過程での若返りではないかと考えられ,幼若化現象(blastgenesis)という言葉が用いられた.しかし,今日では成熟したリンパ球の活性化現象をとらえているものと,理解されている.
一方で,T細胞やB細胞など,リンパ球のサブポピュレーションや,T細胞のサブセットに関する研究が進んだ.その結果,リンパ球活性化も,それぞれのサブポピュレーションやサブセットのレベルで検討されるようになった.また,リンパ球活性化に伴って分泌されるリンホカインとその受容体の役割も,免疫の回路を構成するうえで極めて重要なものである.さらに,リンパ球活性化に伴うさまざまな生化学的変化や,遺伝子活性化の機構が明らかになってきた.これらの変化は,形態変化よりも早期に認められるものもある.リンパ球幼若化現象を細胞形態学的にこだわることや,核酸合成能の亢進のみで評価することには,問題があるのかもしれない.したがって,リンパ球幼若化試験をさらに有効な臨床応用に役立てることができないか,検討すべき時期にきているともいえるわけである.
一方で,T細胞やB細胞など,リンパ球のサブポピュレーションや,T細胞のサブセットに関する研究が進んだ.その結果,リンパ球活性化も,それぞれのサブポピュレーションやサブセットのレベルで検討されるようになった.また,リンパ球活性化に伴って分泌されるリンホカインとその受容体の役割も,免疫の回路を構成するうえで極めて重要なものである.さらに,リンパ球活性化に伴うさまざまな生化学的変化や,遺伝子活性化の機構が明らかになってきた.これらの変化は,形態変化よりも早期に認められるものもある.リンパ球幼若化現象を細胞形態学的にこだわることや,核酸合成能の亢進のみで評価することには,問題があるのかもしれない.したがって,リンパ球幼若化試験をさらに有効な臨床応用に役立てることができないか,検討すべき時期にきているともいえるわけである.
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