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増刊号 免疫検査実践マニュアル 各論 XII.免疫組織化学
5.in situ hybridization
著者: 澤井高志1 宇月美和1 高橋裕一1
所属機関: 1東北大学医学部附属病院病理部
ページ範囲:P.386 - P.389
文献購入ページに移動in situ hybridization(ISH)は細胞,組織内に存在する特定の核酸の有無および分布を同定する技法であり,方法によっては半定量的扱いも可能である.免疫染色が抗原抗体反応に基づく反応を利用しているのに対し,ISHは核酸を形成する塩基間の相補性を利用した反応といえる(図1).つまり核酸はデオキシリボースとリン酸より成るDNAと,リボースとリン酸よりなるRNAから成り,DNAはアデニン(A),チミン(T),シトシン(C),グアニン(G)の4つの塩基,RNAはA,C,GとTの代わりにウラシル(U)という4つの塩基から成り,直線的な配列をとる.その中で水素結合を2個有するAとT(またはAとU),3個有するCとGの結合によって相補性を呈する.
遺伝子DNAが二重らせん構造をとり,これを発見したワトソンとクリックが1962年にノーベル賞を受賞したことはよく知られているが,その二重らせんが塩基配列の水素結合による相補性によるものであり,これを利用して人工的に相補鎖(二本鎖)を構成することをハイブリダイゼーション(hybridization)という.
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