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文献詳細

雑誌文献

検査と技術22巻5号

1994年04月発行

文献概要

増刊号 免疫検査実践マニュアル 各論 XIII.その他

4.寒冷溶血反応

著者: 浅川英男1 遠井初子2

所属機関: 1東京理科大学薬学部臨床病態学 2東京医科歯科大学医学部附属病院検査部

ページ範囲:P.399 - P.400

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■寒冷溶血反応を示す疾患の検査の臨床的目的
 ある種の疾患ではヒト赤血球が寒冷に遭遇すると溶血することが知られている.この場合の寒冷とは通常0〜4℃である.そのときでも溶血を起こすのには補体の存在が必要である.しかし補体は0〜4℃では作動しない.それを説明するのに最も好都合なのが発作性寒冷血色素尿症(paroxysmal cold haemoglobinuria;PCH)である.
 PCHの最も劇的な症状は,急劇かつ間欠的な溶血が血管内で起こることがあって,それは患者の皮膚が寒冷にさらされると起こる.本疾患患者の手を氷水中につけることによっても起こる(実験をしてはいけない).症状としてはしばしばヘモグロビン尿,指尖のチアノーゼ,時に寒冷蕁麻疹を起こすこともある.しかし,当初この疾患が自己抗体によって引き起こされるとは考えていなかった.1884年以来本疾患が晩期梅毒にしばしば合併することが指摘され,DonathとLandsteinerが本疾患発症は補体依存性の自己免疫性溶血性抗体(D-L抗体)に基づくことを証明した.したがって現在ではPCHの診断はD-L抗体の存在の証明によって決められる.本疾患は過去においては先天梅毒患者によく認められた.すなわち,子供に多く認められた.先天梅毒であるために家族内発生も多かった.もちろん寒い季節に起こるけれどもその寒さの程度は患者によっていろいろである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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