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技術講座 微生物
感受性試験のための抗菌剤の基礎知識—[2]アミノ配糖体系薬剤およびキノロン系薬剤
著者: 井上松久1 島内千恵子1 井田孝志1
所属機関: 1北里大学医学部微生物学教室
ページ範囲:P.419 - P.424
文献購入ページに移動β-ラクタム剤やアミノ配糖体系薬剤などの感受性試験を行う際,その結果を左右するいくつかの要因がある.この点を考慮して検査しないと,得られた値は検査ごとに変わったりして正確な情報を得ることが難しくなる.これら検査成績のバラツキは特に薬剤耐性菌においてみられる.しかし,すべての耐性菌の感受性検査で問題となるのではなく,むしろ薬剤とその耐性機構の組み合わせによることが多い.
前回述べたβ-ラクタム剤の場合,耐性菌は薬剤の加水分解酵素(β-ラクタマーゼ)を菌体外に放出するため,薬剤感受性を測定するときの菌数が多ければ多いほど酵素の持ち込みが多くなり結果としてMICが高くなる.またグラム陰性杆菌の産生するβ-ラクタマーゼにはその産生様式が誘導型のものがあるため,薬剤の誘導能が強いか弱いか,酵素によって薬剤が加水分解されやすいか否かによってもMICが相当変動する.さらに,検査対象となる菌株が誘導型産生から構成型産生への変異率が高い場合,得られる感受性結果は菌の変異率の影響を受ける.言い換えれば,β-ラクタム剤の感受性測定では,耐性菌の産生するβ-ラクタマーゼの培地中への持ち込み量がMICを左右する大きな原因となる.
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