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文献詳細

雑誌文献

検査と技術22巻6号

1994年05月発行

文献概要

検査ファイル

音響陰影

著者: 仲宗根出1

所属機関: 1国立循環器病センター生理機能検査部

ページ範囲:P.455 - P.455

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 音響陰影(acoustic shadow)とは日本超音波医学会の医用超音波用語解説によると“結石やある種の腫瘤などの後方に出現する無エコー域”とされている.これを理解するには極端なたとえではあるが月食をイメージすればわかりやすい.月食は太陽と月との間に地球が割り込み太陽の光を遮るため,この陰により月の光る面が一部または全部にわたって欠けるものである(図1).ここでは地球が結石に,月の欠けた部分が無エコー域すなわち音響陰影に相当することになる.
 超音波としてもう少し詳しくみてみると,人が会話をする場合,距離が離れていくと声が聞き取りにくくなってくる.これは音が伝播の過程で減衰するためであるが,超音波も同様に生体内を透過していく過程で減衰(音響エネルギーの熱への変化や反射・散乱のためのエネルギー減少)していく.超音波診断装置ではこの減衰を装置側で深さにより感度を変化させることにより補償している.しかし,この補償は生体内での平均的な減衰を補償するものであるため,例えば減衰の大きな組織の後方では感度補償によって得られている周囲組織の超音波像に対して同程度の補償では十分な像を表示し得ず,すなわち音響陰影として認められる.言い換えれば断層上で音響陰影が認められる場合は,その手前の組織の減衰(主に反射)の程度が極めて大きいということになる.このことから,音響陰影は胆石などの診断において結石存在の診断条件の1つとして役立っている(図2).

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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