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アミリン(IAPP)
著者: 三家登喜夫1
所属機関: 1和歌山県立医科大学第一内科
ページ範囲:P.459 - P.461
文献購入ページに移動 糖尿病は,血糖降下作用を有するホルモンであるインスリンの作用不足により生じる“持続する高血糖”を主徴とする疾患である.その中でも95%以上を占めるインスリン非依存性糖尿病(NIDDM)は,インスリン分泌の異常(低下)とインスリン感受性の低下とを合わせ持った病態を有している.このNIDDMの組織学的特徴の1つに膵ラ島のアミロイド沈着が以前から指摘されていた.このアミロイド沈着は,報告により異なるがNIDDM患者の80%以上に認められている.また,膵β細胞の腫瘍であるインスリノーマ患者(約50%)や,程度や頻度はかなり低いが非糖尿病の高齢者にも認められている.アミロイドとは,βシート構造(ジグザグ構造)を有するペプチドが幾重にも折り重なって沈着したものであるが,このアミロイドを構成しているペプチドがアミロイド線維蛋白質である.現在までに表1に示す数種類の線維蛋白質がそれぞれの疾患と関連して同定されている1).NIDDMに関しては,膵ラ島アミロイド沈着の量が少ないことに加えアミロイドが不溶性であるため,その生化学的な分析が困難であった.1987年になりヒトの膵ラ島に沈着しているアミロイドからその線維蛋白が分離・同定され,膵ラ島アミロイド蛋白(islet amyloid polypeptide;IAPP)2)またはアミリン3)と名付けられた.
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