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文献詳細

雑誌文献

検査と技術22巻7号

1994年06月発行

文献概要

検査データを考える

膿尿

著者: 小野寺昭一1

所属機関: 1東京慈恵会医科大学泌尿器科

ページ範囲:P.531 - P.533

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膿尿の意味するもの
 膿尿とは,尿中に白血球が混入している状態をいい,一般には尿路・性器における感染症の存在を示す.しかし,尿中の白血球数は採尿の方法や利尿の状態(尿比重)により容易に変動するため,膿尿の存在をそのまま尿路・性器感染症の診断に結びつけることは危険である.適切な採尿法が行われた場合で,尿沈渣の無染色標本の鏡検(400倍)で毎視野5個以上の白血球が認められれば尿路感染の存在が疑われる.さらに,尿沈渣の染色標本の鏡検(1,000倍)で,毎視野に細菌を確認し,尿の定量培養で105cfu/ml以上の菌量がみられれば尿路感染症と診断される.しかし,尿中における菌量については,膿尿の場合と同様に,利尿の状態,あるいは,採尿法により解釈が異なる.例えば,利尿がついている状態,あるいは頻回に排尿が行われている場合,また,なんらかの抗菌薬が投与されている場合などは尿路感染があるにもかかわらず菌量が105)cfu/ml未満になることがしばしばみられる.逆に残尿が大量にある場合では,尿路感染症がなくても105)cfu/ml以上の菌量になることもある.また,たとえ菌量が103)cfu/ml程度であっても恥骨上の穿刺によって行われた採尿であれば尿路感染症が存在する可能性が高い.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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