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輸血後移植片対宿主病(GVHD)
著者: 髙橋孝喜1
所属機関: 1虎の門病院輸血部
ページ範囲:P.534 - P.534
文献購入ページに移動輸血後移植片対宿主病(輸血後GVHD)は,輸血血液中に含まれる供血者由来のリンパ球が患者の体組織を攻撃する病態である.典型的な臨床経過は,輸血後1〜2週に発熱と紅斑で始まり,肝障害・下痢・下血などの症状が続き,最終的に骨髄無形成から汎血球減少症を呈し,敗血症などの重症感染症または大量の出血などにより死亡するというものである1).一度発症すると有効な治療法がないが,輸血血液製剤に対する事前放射線照射,自己血輸血による同種血輸血回避が予防策として有用である.免疫不全状態にある患者にのみ発症するとされたが,近年,免疫抑制の明らかでない症例での報告が多く,予防策の実施範囲を広げることが必要と考えられている.さらには,迅速な確定診断法の確立,一般臨床医への情報提供などの課題が残されている.以下,本症についてまとめてみる.
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