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文献詳細

雑誌文献

検査と技術22巻7号

1994年06月発行

文献概要

トピックス

血小板プロテアソーム

著者: 左近賢人1 湯川真生2 上林純一1

所属機関: 1大阪大学医学部第二外科 2

ページ範囲:P.541 - P.542

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 血小板は止血機構に重要で,血管損傷に伴い活性化され,粘着,凝集して血小板血栓(一次止血栓)を形成する.血小板内にはいくつかのリソソーム系プロテアーゼ(カテプシンL,B,Hなど)のほか,非リソソーム系(細胞質)プロテアーゼが存在する.これには主にCa2+イオンで活性化され,中性の至適pHを持つチオールプロテアーゼ(カルパイン)とプロテアソームが存在する.
 プロテアソームはすべての細胞に存在し,同一分子内に複数個以上の触媒活性(キモトリプシン様,トリプシン様,ペプチジルグルタミルペプチド水解活性)を持つ多機能プロテアーゼである.その名前の由来は核蛋白質複合体の19S環状型粒子(prosome)とこのプロテアーゼ(proteinase)複合体が同一のものであることが判明したことによる.プロテアソーム(分子量75万)は環状に配列した6個のサブユニット(分子量:約2〜3万前後)の4重構造(cylinder shape)を持つ.最近,さらに高分子量のプロテアソームが同定され,ユビキチン化蛋白をATP依存性に分解することが明らかになった.前者のプロテアソームは沈降計数が20Sであることから20Sプロテアソームと呼ばれ,後者は26Sプロテアソームと呼ばれる.26Sプロテアソームは20Sプロテアソームと分子量3.5〜10万の制御蛋白群(10数個存在する)より成る.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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