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文献詳細

雑誌文献

検査と技術22巻8号

1994年07月発行

文献概要

トピックス

心筋炎の発症とサイトカイン

著者: 松森昭1 篠山重威1

所属機関: 1京都大学医学部第三内科

ページ範囲:P.605 - P.606

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 心筋炎は,多種のウイルス感染によって起こることが知られているが,ヒトではRNAウイルスが多く,特にコクサッキーウイルスは,ウイルス性心筋炎をきたす最も頻度の高い原因と考えられている.急性ウイルス性心筋炎の多くは,その急性期を過ぎれば予後は比較的良好であると考えられているが,少数例では慢性化し,進行性であることも報告され拡張型心筋症の病因として注目されている.
 実験的ウイルス性心筋炎の研究はマウスにおけるencephalomyocarditis(EMC)ウイルスやコクサッキーBウイルスを用いた研究が多く行われ,急性心筋炎に続いて長期にわたり心筋の線維化などの病変が持続することが明らかになっている1).腫瘍壊死因子(TNF-α)は,主としてマクロファージから産生されるサイトカインで腫瘍,炎症において重要な作用を有すると考えられている.TNF-αは,ある種の細胞においてin vitroでEMCウイルスの増殖を抑制することが報告されインターフェロンを介した抗ウイルス作用が示唆された.筆者らの開発したマウスにおけるEMCウイルス性心筋炎において血中TNF-αは,ウイルス接種後上昇し,5日後に最高値を示した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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