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文献詳細

雑誌文献

検査と技術22巻8号

1994年07月発行

文献概要

トピックス

ADF/チオレドキシンとレドックス制御

著者: 佐登宣仁12 北岡有喜1 淀井淳司1

所属機関: 1京都大学ウイルス研究所生体応答学研究部門 2京都大学医学部附属病院麻酔科

ページ範囲:P.607 - P.608

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 ADF(adult T cell leukemia-derived factor;ATL由来因子)は,成人T細胞白血病(ATL)患者末梢血リンパ球から樹立されたHTLV-Ⅰ陽性培養細胞株の培養上清より,インターロイキン2受容体α鎖誘導物質として分離された分子量13kDの蛋白である.遺伝子クローニングの結果,ADFは,大腸菌から哺乳類に至るまで広く存在する還元酵素チオレドキシン(thioredoxin;TRX)のヒト相同体であることが明らかになっている.ADF/TRXの還元活性部位はアミノ酸配列で-Cys-Gly-Pro-Cys-という2つのシステインを持つことが特徴的であり,典型的には図1に示すように蛋白のジスルフィド結合(-S-S-結合)の還元反応を触媒する.
 有酸素呼吸を行う生物は,酸素の還元反応に伴って生じる活性酸素による酸化ストレスに常にさらされている.またこの恒常的に存在する酸化ストレスに加えて,外界に存在する紫外線,X線への曝露,生体内で感染・炎症に伴って食細胞により産生される活性酸素などは局所に存在する細胞に酸化ストレスを与えると考えられる.このような酸化ストレスに対する防御機構として,ラジカルスカベンジャーと呼ばれる活性酸素消去酵素群やグルタチオン,ある種のビタミンなどの抗酸化物質が生体内で機能している.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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