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甲状腺刺激ホルモンレセプター抗体
著者: 笠木寛治1
所属機関: 1京都大学医学部附属病院核医学科
ページ範囲:P.736 - P.736
文献購入ページに移動 バセドウ病および一部の原発性甲状腺機能低下症の患者の血中には甲状腺刺激ホルモン(thyroid stimulating hormone;TSH)に対する抗体(TSH receptor antibody;TRAb)が検出される.これらはTSHレセプターに対してアゴニスト(刺激型)あるいはアンタゴニスト(阻害型)として作用し,それぞれ甲状腺機能亢進症あるいは低下症の発現に重要な役割を果たしていると考えられている.TRAbの測定法としてはTSHのラジオレセプターアッセイにおいて標識TSHのレセプターへの結合阻害作用を利用して測定する方法と生物活性を指標とする方法とがある.現在コスミック社,日本コダックダイアグノスティック社,バクスター社より,前者の方法によるTRAb測定用キットが市販されている.これらのキットでは商品名として“TRAb”という名前が用いられているため,TSHラジオレセプターアッセイを用いて検出される抗体をTRAbと呼ぶ医家も多いが,TRAbはもっと広義に用いられるべきであり,この方法により検出される活性(抗体)は厳密にはTBII(binding inhibitor immunoglobulin)と呼ぶのが正しい.
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