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文献詳細

雑誌文献

検査と技術23巻1号

1995年01月発行

文献概要

技術講座 血液

血小板粘着能

著者: 杉本充彦1

所属機関: 1奈良県立医科大学小児科

ページ範囲:P.27 - P.31

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新しい知見
 なんらかの要因で血管が破綻した場合,これを修復すべく血小板血栓形成(一次止血)機構が作動する.この過程を便宜上細分して考えると,血小板はまず血管損傷局所へ粘着し,活性化を受けて凝集へと向かうことになる.しかし生体における血小板凝集塊形成は一連のシリーズの反応であり,厳密な意味では完全に各々を切り離して考えることは難しい.したがって血小板粘着能を評価する際,どうしても血小板活性化や凝集要素が含まれることが多い.従来,検査室レベルでは血小板機能は,各種外因性アゴニスト(ADPやコラゲン)で誘導される血小板凝集能を古典的な血小板凝集計を用いて評価してきた.これは液相での血小板“凝集能”を見るもので,簡便で極めて再現性がよく血小板機能研究に大いに貢献してきた.一方,血小板粘着能に関しては,従来よりSalzman法やHellem法による血小板停滞率で評価されてきた.血小板停滞率検査は一定の手技の熟練が必要であり,施設により正常値のバラツキが大きく,現時点では血小板機能を評価する方法として一般によく普及しているとはいいがたい.これら検査でおおむね血小板粘着能を評価できるものの,正確には血小板凝集能をも含めた血小板機能をトータルにとらえていると考えるべきである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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