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アポトーシスと血液増殖・分化
著者: 照井康仁1 大田雅嗣1
所属機関: 1自治医科大学血液医学研究部門造血発生
ページ範囲:P.81 - P.82
文献購入ページに移動 アポトーシス(apoptosis)は,細胞が死ぬ際の1つの形態である.もう1つの細胞死,ネクローシス(necrosis)では細胞膜の変性,細胞質の突出から細胞内イオンの不均衡が起こり,細胞の膨潤,核やミトコンドリアの膨化がみられるようになり,細胞は死ぬ.一方,アポトーシスでは細胞全体として圧縮変形し,核の濃縮,断片化,さらには,細胞の断片化(アポトーシス小体)という特徴的な形態を呈する(図1-b).また,核のDNAはヌクレオソーム間長(約200 bp)の整数倍に断片化される(図1-c).動物細胞においては種々の過程を経ながら各器官を形成し成熟個体へと変化していくが,このある過程で器官形成に不必要な細胞がなんらかの機構により除去される.これがプログラムされた細胞死(programmed cell death)といい,ほとんどがアポトーシスの形態をとる.例えば,哺乳動物の免疫系の発達に必要な胸腺ではその発達段階で多くの細胞が脱落するし,神経系の形成においても同様の現象が観察される.
現在までに知られている主なアポトーシス調節分子は表のとおりで,誘導因子と抑制因子がある.
現在までに知られている主なアポトーシス調節分子は表のとおりで,誘導因子と抑制因子がある.
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