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酵素法によるUIBCの測定
著者: 古堅千鶴1 藤田剛
所属機関: 1オリエンタル酵母工業(株)大阪バイオ工場
ページ範囲:P.820 - P.820
文献購入ページに移動トランスフェリン(Tf)2)はβグロブリン分画に属し,アスパラギン残基にN-配糖型の糖鎖が結合した,679個のアミノ酸残基からなる分子量約80kDaの糖蛋白であり,生体内では鉄輸送蛋白として機能している.また,その等電点(pI)はおよそ5〜6であり,N-末端・C-末端ドメインで鉄原子各1個と極めて安定に結合しうる.鉄を結合したホロTfは465nm付近に吸収極大を持つ色調を呈し,pH4.5以下の酸性条件下や変性条件下では鉄の離脱が起きる.血清中のTfすべてが鉄を結合した形で存在しているわけではなく,健常人では鉄が結合している飽和Tf(ホロTf)が約1/3で,残りのTfは鉄の結合していない不飽和Tf(アポTf)として存在する.このアポTfにあとどれだけの鉄が結合できるかということを鉄の結合能(鉄の結合量を血清中の濃度)で表したものを血清不飽和鉄結合能(UIBC)という.したがって,〔血清総鉄結合能(TIBC)=血清鉄+UIBC〕の関係式が成り立つ.
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