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文献詳細

雑誌文献

検査と技術23巻10号

1995年09月発行

文献概要

検査ファイル

酵素法によるUIBCの測定

著者: 古堅千鶴1 藤田剛

所属機関: 1オリエンタル酵母工業(株)大阪バイオ工場

ページ範囲:P.820 - P.820

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 体内の鉄は4g程度でその約65%は赤血球内の血色素鉄として,残りは貯蔵鉄として肝,脾,その他の組織に存在し,生体内金属としての重要な役割を演じている.したがって,体液,特に血清中の鉄に関するインデックスは血液疾患や肝臓疾患などの鉄代謝異常の診断にとって有用な情報を提供する1)
 トランスフェリン(Tf)2)はβグロブリン分画に属し,アスパラギン残基にN-配糖型の糖鎖が結合した,679個のアミノ酸残基からなる分子量約80kDaの糖蛋白であり,生体内では鉄輸送蛋白として機能している.また,その等電点(pI)はおよそ5〜6であり,N-末端・C-末端ドメインで鉄原子各1個と極めて安定に結合しうる.鉄を結合したホロTfは465nm付近に吸収極大を持つ色調を呈し,pH4.5以下の酸性条件下や変性条件下では鉄の離脱が起きる.血清中のTfすべてが鉄を結合した形で存在しているわけではなく,健常人では鉄が結合している飽和Tf(ホロTf)が約1/3で,残りのTfは鉄の結合していない不飽和Tf(アポTf)として存在する.このアポTfにあとどれだけの鉄が結合できるかということを鉄の結合能(鉄の結合量を血清中の濃度)で表したものを血清不飽和鉄結合能(UIBC)という.したがって,〔血清総鉄結合能(TIBC)=血清鉄+UIBC〕の関係式が成り立つ.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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