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文献詳細

雑誌文献

検査と技術23巻10号

1995年09月発行

トピックス

活性化プロテインCレジスタンス

著者: 安室洋子1

所属機関: 1聖マリアンナ医科大学病院臨床検査部

ページ範囲:P.821 - P.822

文献概要

 血栓症の要因は先天性のものとして,プロテインC(PC),プロテインS(PS),アンチトロンビンIII(ATIII),プラスミノゲン(PLG)の異常,後天性の要因としてはリン脂質抗体症候群としてループスアンチコアグラントが知られている.PC,PS,AT IIIの異常は45歳以下で静脈血栓症(DVT)を発症した患者の約20%に認められ,また,血栓性の家族歴を有していることが報告されている.PLGの異常によるものは1〜2%とされ,ほかの多くの症例の原因は不明であった.近年,Dahlbäckら1)はPC活性化にPSではない,新しいコファクターの存在を発見し,血栓性3家系にこのコファクターが欠如していることを見いだした.正常血漿は活性化プロテインC(APC)を添加するとAPTTが延長するが,このコファクターが欠損している血漿はAPTTの延長に抵抗性であった.このAPCの抗凝固作用に抵抗性を示す活性化プロテインCレジスタンス(activated protein C resistance;APC-R)が新しい血栓性素因として注目されている.このAPC-Rの本態はその後の研究で凝固第V因子(F.V)の分子異常であることが明らかにされた.欧米では若年性血栓性患者の20〜30%にAPC-Rが認められたとの報告が相次いでされている.また,APC-Rは常染色体優性の遺伝形式をとることも判明した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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