icon fsr

文献詳細

雑誌文献

検査と技術23巻11号

1995年10月発行

文献概要

技術講座 微生物

ノカルジアの同定

著者: 矢沢勝清1 三上襄1

所属機関: 1千葉大学真核微生物研究センター化学療法分野

ページ範囲:P.877 - P.884

文献購入ページに移動
新しい知見
 ノカルジアの同定にはキサンチン,チロシン,さらにカゼインなどの分解や糖からの酸産生のように判定までに長時間を要する試験があり,結果が得られるまでには2〜3週間が必要である.ノカルジアは真性細菌であるが,形態学的には菌糸状の発育形態を示すことから,抗生物質の生産菌であるStreptomycesとの判別が難しい.またノカルジアはMycobacteriumと分類学的に近縁であり,弱い抗酸性を示すことから,一部の速発育性のMycobacteriumとの判別にも困難が伴う.
 ノカルジアが種に特異的な薬剤感受性パターンを示すことをわれわれは明らかにしてきた.このノカルジアの種に特異的な薬剤感受性パターンの利用,特にイミペネム,トブラマイシン,カナマイシン,さらに5-フルオロウラシルを用いることにより,わが国で問題となる5種の病原性ノカルジア(N. asteroides, N. farcinica, N. nova, N. brasiliensis, N. otitidiscaviarum)の同定が2〜3日と短時間で可能である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?