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文献詳細

雑誌文献

検査と技術23巻11号

1995年10月発行

文献概要

検査ファイル

アデノシンデアミナーゼ欠損症

著者: 崎山幸雄1

所属機関: 1北海道大学医学部小児科学教室

ページ範囲:P.898 - P.898

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アデノシンデアミナーゼ欠損症とは
 アデノシンデアミナーゼ(ADA)はリボヌクレオシドであるアデノシンをイノシンへ,デオキシアデノシンをデオキシイノシンへ脱アミノさせるプリン・サルベージ経路の触媒酵素である.ADAはヒトのほとんどすべての組織・細胞に存在するが,その活性は組織・細胞によって異なり,胸腺で最も高く,次いでリンパ組織・胃腸管・脳皮質で高く,赤血球では最も低いとされている.リンパ球では系統,分化レベルによって差があり,T細胞はB細胞より,T細胞でも胸腺内T細胞は成熱T細胞よりもその活性が高いことが知られている.一般にこのようなADA活性の差は細胞内でのADA mRNAのレベルを反映しており,T細胞とB細胞での活性の違いはmRNAの転写効率の差によると考えられている.
 ADA欠損は細胞内にアデノシン,デオキシアデノシンの蓄積をきたし,アデノシンの増加は細胞内のcAMP濃度を増加させて,メチル化にかかわるS-adenosylhomocystein hydrolase(S-AH)を不活化させること,デオキシアデノシン(dAdo)の増加はDNA修復機構を障害すること,リン酸化デオキシアデノシン(dATP)の蓄積はDNA合成に必須の酵素であるリボ核酸還元酵素を阻害してDNA複製を障害することなどが知られている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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