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文献詳細

雑誌文献

検査と技術23巻11号

1995年10月発行

文献概要

トピックス

血小板増殖因子

著者: 寺村正尚1 溝口秀昭1

所属機関: 1東京女子医科大学血液内科

ページ範囲:P.919 - P.920

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■トロンボポエチンの単離
 マウスなどに抗血小板抗体を注射して血小板数を減少させると,血漿中に血小板産生を刺激する液性因子が増加する.この生理的な血小板増加因子はトロンボポエチン(TPO)と呼ばれている.TPOの存在は30年以上前から知られていたが,単離はされていなかった.1990年頃,インターロイキン-6(IL-6)は動物に注射すると血小板増加作用が認められたので,TPOではないかと話題となった.しかし,その後の研究で血小板減少期に血中に増加しないことからTPOではないことが明らかとなった.その後も,遺伝子工学的手法を駆使して,新しいサイトカインが次々と純化されたにもかかわらず,TPOは単離されないので,TPOの存在さえ疑問視する声も出てきた.ところが1994年,ついにTPO単離の報告が多数の施設からほぼ同時に報告された.TPOは驚いたことに,それ以前から知られていた造血細胞に特異的に存在するc-Mplレセプターのリガンド(レセプターに結合する蛋白)であった.
 TPOが単離された経緯には2つの流れが存在する.1つは1986年,Wendlingらがマウスに白血病を起こすレトロウイルス(MPLV)を発見し,さらに1990年このウイルスより新しい癌遺伝子,c-Mplを発見したことである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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