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文献詳細

雑誌文献

検査と技術23巻12号

1995年11月発行

文献概要

けんさアラカルト

医療従事者のHCV感染

著者: 横須賀收1

所属機関: 1千葉大学医学部第一内科

ページ範囲:P.974 - P.974

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 C型肝炎ウイルスは血液によって感染する.したがって,医療従事者のうちでもC型肝疾患患者血清を扱ったり観血的処置をする検査技師,看護婦,医師は一般人に比べてC型肝炎ウイルス感染の高危険群であると考えられる.本邦における医療従事者のHCV抗体保有率は表1に示すごとくである1〜4).清沢ら,西村らは,医療従事者は一般人に比して高い傾向があると報告しているが,片山ら,西野らは対照である一般人に比して高いとはいえないと報告している.被検者数が比較的少ないために有意差はみられないが,やはり医療従事者は危険率が高いと考えてよいと思われる.特に検査技師に抗体保有率が高い傾向のみられることから,目に見えないくらいの血液が皮膚の傷を通してHCVに感染する可能性があると考えられる.患者血液を扱うときには手袋の励行が望まれる.
 それでは針・汚染事故後のHCV感染はどうであろうか.針事故後の経過観察者に発症がみられたという散発的な報告から,針事故後にHCV感染が起こりうることは明らかである.針・汚染事故後のHCV感染の頻度に関する報告を表2にまとめてある5〜7).Kiyosawaらの報告では針事故後107人中HCV感染は3人に認められている.Mitsuiらの報告では10%と高率であり,その危険性の高いことが示されている.われわれの施設における検索では181人中HCV感染は2人であり約1.1%と考えられる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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