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文献詳細

雑誌文献

検査と技術23巻12号

1995年11月発行

文献概要

トピックス

血漿グライコカリシン

著者: 国島伸治1 直江和樹2

所属機関: 1名城病院中央検査科 2名古屋大学医学部附属病院分院内科

ページ範囲:P.1010 - P.1012

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■血小板膜GPIb/IX複合体とグライコカリシン
 血小板膜上に存在する糖蛋白(GP)のGPIb/IX複合体は,一次止血において最も重要な役割を果たしている膜受容体である.すなわち,血管が破綻し内皮下組織が露呈されると,まずフォン・ウイルブランド因子(vWF)が結合し,次いで血小板がGPIb/IX複合体を介して結合する.この粘着を契機に血小板は活性化し,静止状態にある血小板をも巻き込んで凝集する.したがって,GPIb/IX複合体あるいはvWFを先天的に欠損する疾患(それぞれ,ベルナール・スーリエ症候群とフォン・ウイルブランド病)では血小板の粘着機能が障害されて出血傾向を呈する.GPIb/IX複合体は,GPIbα,GPIbβおよびGPIXの各分子よりなり,GPIbαにvWF結合部位を含めてすべての機能部位がある.GPIbαは血小板内に存在するカルシウム依存性蛋白分解酵素などにより容易に分解され,その分子の大部分を占めるグライコカリシンと呼ばれる分解産物を遊離する.グライコカリシンが正常人の血液中に存在することは,1984年に競合法を原理とした測定法の開発によって初めて明らかにされた1).1987年になり,グライコカリシンの血漿中濃度の測定は血小板減少症の鑑別診断法として有用であるとの報告が同じ研究者によりなされた2).しかし,この測定法は放射性同位元素を用いるために,特別な施設でのみ施行可能であったことから広く普及しなかった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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