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文献詳細

雑誌文献

検査と技術23巻13号

1995年12月発行

文献概要

検査ファイル

Return cycle

著者: 古川泰司1 西村昌雄1

所属機関: 1帝京大学医学部第一内科

ページ範囲:P.1097 - P.1098

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 Return cycle(復元周期)とは,体表面心電図の用語として用いる場合,一般的にはその種類を問わず期外脱分極から基本脱分極までの時間間隔を指すと考えられている.しかしながら,臨床電気生理学的検査による洞機能検査法が標準化し,期外脱分極と次の洞結節性脱分極との時間間隔を決定する機序が理解されるようになってからは,しばしば心房期外収縮から後続の洞性脱分極までの間隔を指す用語として用いられている.
 Return cycleの実例を図1に示す.基本洞心拍(A1)の後に,基本洞周期(A1-A1)より短い連結期(A1-A2)で心房期外刺激(A2)を加えると,その次に生じる洞性興奮(A3)は基本洞周期よりも幾分遅れて発現する.その際のA2-A3をreturn cycleと呼ぶ.期外刺激が拡張期の終わりごろに加えられると,この刺激が洞結節に逆伝導する前に洞結節はすでに脱分極を開始しているので,次の洞性脱分極は基本洞周期後に発現する.このとき,return cycleは連結期が基本洞周期よりも短い分だけ延長する.他方,期外刺激がこれより短い連結期で加えられると,本刺激は洞結節に進入し,結節細胞を脱分極させ,洞周期の更新を図る.洞結節細胞はこの脱分極の後,基本洞周期と同じ速度で第4相脱分極を生じるが,基本周期そのものは不変である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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