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文献詳細

雑誌文献

検査と技術23巻4号

1995年04月発行

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トピックス

Helicobacter pyloriと胃癌

著者: 榊信廣1

所属機関: 1東京都立駒込病院内視鏡科

ページ範囲:P.362 - P.363

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■Helicobacter pyloriとは
 1983年にHelicobacter pylori(H. pylori)と後に命名された細菌が胃内に存在することがMarshallら1)によって報告され世界中の注目を集めたが,1991年になってParsonnetら2)の疫学的な報告から胃癌との関係に興味が持たれるようになった.さらに1994年にHustonで開催された研究会では,WHO,IARC会議の報告としてH. pyloriは胃癌発生に連なる事象の原因と明言されるまでになった.しかし,細菌であるH. pyloriの何が,またその感染の影響の何が胃癌の発生に結びつくのか,両者の接点を探す基礎的な研究はまだ始まったばかりである.
 H. pyloriは鞭毛を持つグラム陰性ラセン状短桿菌で,一方の極に持つ鞭毛によって粘液内を移動して,中性に保たれている被覆粘液深層で胃粘膜上皮に密着して存在している.この細菌の最大の特徴は,尿素からアンモニアを作るウレアーゼ活性を持っていることである.このウレアーゼ活性が,細菌が生育しないとされたpH3以下の強い酸性の胃液内でも生存を可能にしたわけであるが,アンモニアを発生させ,それが胃粘膜障害を起こす原因になっていると考えられている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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