icon fsr

文献詳細

雑誌文献

検査と技術23巻5号

1995年04月発行

増刊号 臨床生理検査実践マニュアル画像検査を中心として

Ⅵ.重心動揺検査法

1.検査の意義

著者: 加我君孝1

所属機関: 1東京大学医学部耳鼻咽喉科学教室

ページ範囲:P.296 - P.299

文献概要

はじめに
 身体のバランスは,例えば直立姿勢をとるとき,見かけ上何の問題がないように見えながら,絶えず小刻みの動揺を繰り返しつつ保たれているものである.静的な状態も動的にバランスは保たれている.バランスの維持に関する脳神経のしくみは,随意運動系と不随意運動に分けて考える.随意運動は,決断と実行の能力,すなわち前頭葉を中心とする企画,判断,持続的意志のようなコマンド系と錐体路系である.例えばこのような高次の神経系に障害のあるアルツハイマー病の患者に検査を理解させ,直立姿勢を維持させることは難しい.一方,不随意運動としては,①視性,迷路性,自己受容性の立直り反射(righting reflex),②大脳基底核,小脳,迷路,脊髄よりの筋緊張調節,③小脳の働きによる頭部,四肢,嚢幹の協同運動(coordination)が大切である1)
 身体の動揺を他覚的に計測する方法は19世紀後半より,頭部動揺,重心動揺,嚢幹動揺,抗重力筋活動の記録など,多くの工夫が行われてきたが,コンピュータの発明,普及,ニューロサイエンスの発展などに応じて進歩し,現在では,パーソナルコンピュータを利用した低価格,高性能の検査機器が使用され,身近なものとなっている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら