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文献詳細

雑誌文献

検査と技術23巻6号

1995年05月発行

今月の表紙

転移性肺腫瘍

著者: 荒井祐司1 都竹正文1 坂本穆彦2

所属機関: 1癌研究会附属病院細胞診断部 2東京大学医学部病理学教室

ページ範囲:P.406 - P.406

文献概要

 肺の細胞診検査において悪性腫瘍の組織型を推定する場合に,原発性肺腫瘍はもちろんであるが,転移による腫瘍の存在も常に念頭の置かなければならない.特に肺は全臓器中転移性腫瘍の多い臓器であるので,腫瘍が原発性か転移性かの診断を細胞診で得られれば,治療方針の選択や予後の判定において重要な指針となる.
 悪性腫瘍の転移の様式には,血得性,リンパ性,体腔内播種,組織間隙による転移,管腔内転移などがあるが,転移性肺腫瘍におけるその経路は,①肺周囲組織からの直接浸潤,②リンパ行性転移,③血行性転移,④経胸腔性転移,⑤気管支腔内転移,がある.このうち最も頻度の高いのは③の血行性転移である.Waltherは悪性腫瘍の血行性転移をその経路の違いのよって,Ⅰ型-肺静脈型,Ⅱ型-肝静脈型,Ⅲ型-大静脈型,Ⅳ-門脈型,の4型の分類した.Ⅰ型には肺癌,Ⅱ型には肝癌,Ⅳ型のは胃癌,大腸癌などの消化器癌,残りの大半の悪性腫瘍はⅢ型の群の属する.また,肺におけるリンパ行性転移の経路は,①血行性の肺転移をした癌細胞がリンパ管を侵す場合,②胸壁あるいは横隔膜リンパ路を経て胸膜へ転移し,ここから肺内リンパ管を侵す場合,③肺門部リンパ節転移巣から逆行性に肺内リンパ管へ侵入する場合,があり,③が最も多いとされている.各臓器から肺への転移の頻度は,一般的には乳癌,胃癌,肺癌,大腸癌,甲状腺癌,腎癌,子宮癌,食道癌,絨毛癌,骨肉腫などがみられる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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