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文献詳細

雑誌文献

検査と技術23巻6号

1995年05月発行

文献概要

生体のメカニズム 体液調節機構・5

ナトリウム代謝調節の異常—脱水,浮腫

著者: 谷口茂夫1

所属機関: 1東京大学医学部第1内科

ページ範囲:P.447 - P.449

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 ナトリウムは細胞外液中の最も重要な浸透圧物質であるので,血清ナトリウム値の異常は血漿浸透圧の異常と考えてよい.血漿浸透圧は抗利尿ホルモン(ADH)を中心とした調節系で厳密に調節されているが,血清ナトリウム値の異常はこの調節系のなんらかの異常を伴う.一方,血清ナトリウム値の異常は必ずしも体内のナトリウム量の異常を反映しない.体内のナトリウムの過不足を反映するのは細胞外液の量であり,例えば浮腫性疾患などで細胞外液量が増加している場合は血清ナトリウム値が低くてもナトリウムは貯留している.このように,ナトリウム代謝について考える場合,血清ナトリウム値,すなわち血漿浸透圧と,体内のナトリウム量,すなわち細胞外液量という2つの側面があることに留意しなければいけない.
 さらに,血清ナトリウム値の異常と細胞外液量の異常はしばしば合併してみられる.血清ナトリウム値は体内の水分量とナトリウム量の相対的関係により決まる.細胞外液量が増加している場合は体内のナトリウム量は増加しているが,水の増加がより顕著であれば低ナトリウム血症となる.逆にナトリウムの増加が水の増加より顕著であれば高ナトリウム血症となる.細胞外液が減少している場合は水の喪失がナトリウムの喪失より顕著であれば高ナトリウム血症となり,ナトリウムの喪失が顕著であれば低ナトリウム血症となる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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