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文献詳細

雑誌文献

検査と技術23巻8号

1995年07月発行

生体のメカニズム 体液調節機構・7

カリウム代謝調節の異常

著者: 林松彦1

所属機関: 1慶応義塾大学医学部内科学教室

ページ範囲:P.633 - P.636

文献概要

高カリウム血症
 血清カリウム(K)濃度5.0mEq/l以上を高K血症と呼び,表1に示したように,偽性,K排泄減少,K分布の変化,K摂取の過剰のいずれかの原因により生じる1).まず,偽性では採血手技の不手際や採血後の検体の扱いの不良により赤血球溶血が起こり,細胞内Kが血清中に放出されることにより生じる.非常にまれな遺伝性疾患で,膜透過性の亢進により血液を保存すると,細胞内Kが逸脱して高K血症を生じる場合がある.また,慢性白血病,血小板血症で著しい血液細胞の増加がみられる場合(白血球数>50万/mm3,血小板数>100万/mm3)に採血後に細胞からのK逸脱により高K血症を生じる場合がある.どちらも,ヘパリン採血を行い,素早く血漿分離を行うことにより鑑別される.
 K排泄減少は,原因としてさらに二分され,腎細胞の障害による場合と,レニン・アルドステロン系の障害による場合がある.腎臓では糸球体を濾過された原尿のK濃度は血清と等しく,その後尿細管で濃縮・排泄を受けて最終的に負荷されたKを排泄しているが,ネフロンの総数の減少,尿細管の機能異常の双方でK排泄の減少を生じる.前者が腎不全であり,後者は種々の疾患でみられる集合管主細胞自体の機能異常であるが,臨床的には圧倒的に前者が多い.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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