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血清カテプシンL
著者: 西田欣広1 宮川勇生2
所属機関: 1大分医科大学大学院 2大分医科大学産科婦人科学教室
ページ範囲:P.645 - P.645
文献購入ページに移動カテプシンという名称は,1929年にWillstätterとBamannによって提唱されたもので,当時は動物細胞内の蛋白質の分解にあずかる酵素の総称であった.また,その活性については広く酸性から弱アルカリ性pH領域にわたってみられる複数の異なった酵素群からなるものと考えられていた程度で,その実体はほとんど不明であった.1955年にDe Duveらによりリソソームが発見され,リソソームが代表的カテプシンのいくつかを含むことが発表された.その後研究が進み,最近に至って高等動物に存在するリソソームは細胞内の主要な蛋白質の分解に関与しており,その生理作用としては異物代謝(ヘテロファジー),細胞内蛋白の自己消化(オートファジー),あるいは各種蛋白質の限定分解などが考えられている.これら一連の生理作用を担う細胞内プロテアーゼ群がカテプシンと呼ばれ,特に肝臓,腎臓,脾臓,マクロファージなどのリソソームに高濃度に存在している.
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