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循環器領域の臨床検査—循環生理機能検査から遺伝子診断へ
著者: 川口秀明1
所属機関: 1北海道大学医学部臨床検査医学講座
ページ範囲:P.796 - P.796
文献購入ページに移動 従来,循環器領域で日常行われている検査には心電図,胸部写真,心エコー,心臓カテーテル,冠動脈造影などがある.これら検査では,すでに心臓に器質的な変化が生じたときにのみ,異常変化を検出可能である.特発性心筋症などの疾患で,まだ発症していない例では検出不可能であった.しかし,近年,肥大型心筋症が多発した家系の解析により,βミオシン重鎖(βMHC)遺伝子変異を有する症例の存在が報告され,心筋細胞サルコメアを構成する蛋白質の異常が心筋肥大の原因の1つとなりうることが明らかとなった.βMHCの点変異の中にはアミノ酸の荷電を変えるものがあり,そのような症例では予後が悪いことが判明した.小児期で心エコー上,心肥大がまだ現れていない症例でも,このような点変異を持つ者は予後が悪い.したがって,遺伝子診断によって小児期より悪性の点変異が見つかれば,突然死の予防が可能である.
βMHCのほかに遺伝子診断として利用できそうなものにアンジオテンシン変換酵素(ACE)遺伝子の多型性がある.ACEはレニン・アンジオテンシン系を構成する因子の1つとして重要な位置を占めている.
βMHCのほかに遺伝子診断として利用できそうなものにアンジオテンシン変換酵素(ACE)遺伝子の多型性がある.ACEはレニン・アンジオテンシン系を構成する因子の1つとして重要な位置を占めている.
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