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文献詳細

雑誌文献

検査と技術24巻11号

1996年10月発行

文献概要

トピックス

グリコヘモグロビン測定の問題点

著者: 星野忠夫1

所属機関: 1慶應義塾大学医学部薬化学研究所

ページ範囲:P.964 - P.966

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■グリコヘモグロビン(GHb)測定の現状
 高速液体クロマトグラフィー(high-performance liquid chromatography;HPLC)によるGHbの測定が始まって以来15年経つが,その測定は精密さ,正確さともに不十分で,測定値の施設間差の実態は臨床的許容範囲を超える.この問題を解消するため,日本糖尿病学会と日本臨床化学会は委員会を設置し活動している.最近,ホウ酸アフィニティ法や免疫法によるGHbの測定法が供給されるようになり,GHbの測定にいっそうの問題を投げかけている.GHbに限ったことでなく,検査の実施に当たっては,各施設での精密さに基づく精度管理ばかりでなく,正確さに基づく精度管理が必要である.
 国内のHPLCを測定法とする27施設における筆者らの調査によると,7種の同一凍結乾燥標品をそれぞれ6回測定した結果,その測定値の施設内変動係数が3%を超えた施設はわずか3施設であったが,測定値の施設間変動係数は6.60〜10.46%と大きく,測定表示値そのものの施設間差は2.8〜4.1%にも及んでいる.この結果は各施設の測定値をそのまま統一的に比較評価することが不可能であることを示している.また,425名の糖尿病患者を分析対象とし,同一血液試料をメーカーに依頼し,あるいは借用した市販8機種で測定した筆者らの別の調査の結果をみてみよう.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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