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文献詳細

雑誌文献

検査と技術24巻13号

1996年12月発行

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トピックス

プリオン病

著者: 宮本勉1

所属機関: 1長崎大学医学部細菌学教室

ページ範囲:P.1154 - P.1156

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 以前から伝播性海綿状脳症と称される疾患群があった.この疾患は脳の神経細胞が消失して空胞状の変性がみられ(図1),発症死亡した脳の乳剤を実験動物脳に接種すると,また発症し死亡するので伝播性があることからこの名前がついた.しかし一般の感染症の概念にはあてはまらない(後述).この病原(感染)因子がプリオン蛋白(prion protein;PrP)と考えられるようになり,最近はプリオン病といわれている.プリオン病は約200年前から知られていたヒツジのスクレイピーが有名で,最近話題の狂牛病もその1つである.ヒトではクロイツフェルト・ヤコブ病(Creutzfeldt-Jakob disease;CJD),ゲルストマン・ストロイスラー(Gerstmann-Sträus)症候群,致死性家族性不眠症などがあり,後二者は遺伝性疾患である.
 プリオン病の病態は疾患によって多少の違いがあるが,共通点も多い.CJDを代表としてその特徴を示すと,まず極めて徐々に発症するので,いつ発症したかわからないことが多い.初めは運動失調(よく転んだり直進不能)が主であるが,不眠,健忘,性格変化が生じ,進行すると痴呆,幻覚が現れ,ミオクローヌス(頸や手足の屈曲発作)や病的反射を伴う.脳波は全誘導にわたってある間隔で同時放電がみられる.末期には植物人間となり,発症後1年前後で死亡する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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