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文献詳細

雑誌文献

検査と技術24巻13号

1996年12月発行

トピックス

バンコマイシン耐性腸球菌

著者: 大野章1

所属機関: 1東邦大学医学部微生物学教室

ページ範囲:P.1156 - P.1158

文献概要

■バンコマイシンの臨床的価値
 1955年,McCormicらにより,土壌中の放線菌Streptomyces orientalisから単離されたグリコペプチド系抗菌薬バンコマイシンは,グラム陽性菌に優れた抗菌力を有し,腎毒性の問題を除いては副作用の極めて少ない抗菌薬の1つとして現在用いられている.
 バンコマイシンの臨床的価値は,深刻な院内感染問題を起こしているメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の出現により一気に高まった.1961年に出現したMRSAは,多剤耐性化が急速に進み,1980年代後半には既存の抗菌薬のすべてに耐性を獲得した株が優勢となった.しかし,不思議なことに,バンコマイシンだけには耐性化を起こさず,それゆえにMRSAに唯一有効な抗菌薬としてバンコマイシンの評価が高まったのである.そのため,欧米ではMRSA感染症治療にバンコマイシンが早くから用いられてきた.そして,現在までおおよそ40年にわたる使用経験にもかかわらず,いまだバンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌株は出現していない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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