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文献詳細

雑誌文献

検査と技術24巻3号

1996年03月発行

マスターしよう検査技術

抗酸菌染色

著者: 小栗豊子1 上杉文子1

所属機関: 1順天堂大学附属病院臨床検査部

ページ範囲:P.217 - P.222

文献概要

 抗酸菌は,細胞壁に脂肪を含むため,通常の色素には難染性である.抗酸菌染色は塩基性フクシンを用いる方法とオーラミンなどの蛍光色素を用いる方法があるが,いずれの染色液にも媒染剤として石炭酸が添加されている.石炭酸は菌の細胞壁の脂肪を溶出させ染色されやすくする作用があるといわれている.抗酸菌の中には健常人にも感染する危険なヒト型結核菌やウシ型結核菌が含まれる.患者の検体やその分離菌の中にはこれらの病原菌が含まれている可能性が高い.したがって抗酸菌の検査は,実験室内感染予防やバイオハザード注1)を防ぐための注意について十分な指導を受け,生物学用安全キャビネットの設備のもとで行わなければならない.ここでは日常検査法として広く普及しているZiehl-Neelsen法,オーラミン染色法(蛍光染色法)について解説する.なお,染色液の作製法,検査成績の報告については図の本文の後方に記載した.注1)バイオハザードとは生物そのものまたは生物の産生する毒素などでヒトが害を受けることである.国立予防衛生研究所はWHO方式に準じ,微生物を危険度により分類しており,これらの取り扱いについて勧告している.ヒト型結核菌はクラス3aに属し,生物学的安全キャビネットの中で取り扱うことを勧めている1).図1のバイオハザードのマークは実験室のドア,感染性廃棄物のゴミ入れなどにも付けられる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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