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文献詳細

雑誌文献

検査と技術24巻4号

1996年04月発行

文献概要

トピックス

抗TNFα抗体を用いた慢性関節リウマチ(RA)の治療

著者: 佐伯行彦1

所属機関: 1大阪大学医学部第三内科

ページ範囲:P.374 - P.376

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 慢性関節リウマチ(rheumatoid arthritis;RA)は,代表的な全身性の慢性炎症性疾患であり,骨破壊性の多関節炎により重度の運動機能障害をきたすことを特徴とする.しかも,その高い有病率のため臨床上非常に重要な疾患である.しかしながら,その病因はまだ明らかにされておらず,そのため,これまで病因や発症機序を踏まえた根本的な治療法は確立されていない.
 最近,免疫学の進歩に伴い,RAの発症機構,病態を分子/細胞レベルで理解することが可能になってきた.つまり,RAの発症は原因となるT細胞(pathogenic T細胞)の活性化に始まる.なんらかの引き金(レトロウイルスなどの感染の関与が示唆されている)により,本来,免疫学的寛容状態にあるpathogenicT細胞が活性化される.活性化されたpathogenic T細胞は,血流に乗って,接着分子を介して,標的組織である関節組織へ遊走する.関節組織へ到達したpathogenic T細胞は,局所に存在する自己抗原により再活性化され,増殖するとともにサイトカインを産生し,エフェクター細胞(滑膜細胞,B細胞など)を活性化させる.そして,最終的には滑膜細胞の増殖による機械的な作用(パンヌス形成)や,それらの細胞から産生される種々のサイトカインにより軟骨や骨を形成する組織/細胞が傷害され,関節の破壊が生じる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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