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文献詳細

雑誌文献

検査と技術24巻5号

1996年05月発行

トピックス

Fas抗原

著者: 長藤宏司1

所属機関: 1原三信病院血液内科

ページ範囲:P.474 - P.476

文献概要

 従来,細胞の増殖についての研究が主流であったが,最近は,いかに細胞が死ぬかについての研究が盛んである.細胞の死にかたには,形態学的に2とおりのものがある.壊死(necrosis;ネクローシス)と,アポプトーシスまたはアトポーシス(apoptosis)である.壊死は細胞膜の透過性が亢進し,核,細胞内小器官の膨大と細胞膜の伸展が起こり,細胞融解し細胞質内容物の細胞外流失が起こる.結果として周辺に炎症を引き起こす,汚い死にかたである.一方,アポトーシスは,細胞質や核が濃縮し,核や細胞内小器官を含む小体(apoptotic body)に分断され,この小体は周辺の貪食細胞により速やかに処理される.周辺には炎症などを引き起こさない,潔い死にかたである1)
 アポトーシスを惹起する経路は数多くあるが,その中の1つとして,Fas-Fasリガンドシステムが発見された.1989年,米原らは,種々のヒト細胞に対しアポトーシスを誘導する抗Fas抗体を得た2).その後Fas抗原の遺伝子構造が決定された.Fas抗原は335個のアミノ酸からなり,N末端16個のアミノ酸はシグナル配列,中央に疎水性アミノ酸17個よりなる膜貫通領域が存在する.細胞外領域に18個のシステイン残基が存在し,3つのサブ領域に分けられる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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