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文献詳細

雑誌文献

検査と技術24巻6号

1996年06月発行

文献概要

今月の表紙

細胞骨格

著者: 巽典之1 田窪孝行1 鎌田貴子1

所属機関: 1大阪市立大学医学部臨床検査医学

ページ範囲:P.534 - P.534

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 細胞骨格という言葉が最近よく使われます.骨格という言葉にはあまり実感が湧いてこず「なぜこのような命名をしたの?」と思いがちですので,その意味を形でお示ししようとしたのが今回の写真です.図a,bは血小板を電顕メッシュの上に載せ,これに軽くトリトン処理を施した結果です.図aが走査型電顕像,図bが透過型電顕像です.細胞質内にまるで葉脈のごとく走っている線維が観察できるでしょう.この処理を血小板の活性化の過程に沿って経時的に行いますと血小板や白血球の収縮過程における線維形成機構,さらには機能発現のための細胞動態構造の変化を詳細に解析できます.白血球や血小板は非刺激状態では細胞質は微細小管系以外はまったく線維構造がなく顆粒成分のみが電顕像でとらえられます.ところが,いったん刺激が加わりますと瞬時に線維構造が形成されるのですから不思議と言わざるを得ないでしょう.
 図cは白血球からの精製収縮蛋白の2図であり,血小板からも同じ構造蛋白が観察できます.図の左が精製アクチン線維であり,右が精製ミオシン重合体です.ご存じのように蛋白質は本来透明な球状様構造をとり,分子量がアクチンで約5万,ミオシンで約22万ですので普通の電顕では見える分子サイズではありません.ところがこれが会合体・敵合体となって見えるようになります.このような電顕像を血液細胞で初めて私どもが論文に報告できたときの喜びはひとしおでした.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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