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文献詳細

雑誌文献

検査と技術24巻6号

1996年06月発行

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トピックス

滑膜肉腫の最近の知見

著者: 元井亨1

所属機関: 1東京大学医学部病理学教室

ページ範囲:P.538 - P.539

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 滑膜肉腫は若年成人に好発する軟部肉腫の1つであり,主として四肢の大関節近傍に発生する.軟部肉腫の中ではそれほどまれなものではなく,1985年から1994年まで10年間に東京大学医学部附属病院病理部に提出された軟部肉腫142例中,11例(7.7%)を占め,頻度としては4番目に多い.滑膜肉腫の特徴は主としてその上皮様の組織像にある.滑膜肉腫には代表的な3つの組織型があり,二相型(biphasic type)と呼ばれるものは上皮成分と紡錘形細胞成分の2つから構成されている.上皮成分では上皮様の細胞が明瞭な腺管構造を示し,腺腔内には粘液の貯留がみられることがある.扁平上皮様の形態を呈する場合もまれに観察される.また紡錘形細胞成分はいかにも肉腫様であり,均一な紡錘形細胞が密度高く配列している.この2つの成分が混在しており,両者の境界は通常明瞭でいわゆる二相性パターンを呈する.2つの成分の割合は症例ごと,あるいは1つの症例でも場所によって大きく異なっている.単相線維型(monophasic fibrous type)では明らかな上皮成分はみられず,主として紡錘形細胞で構成されている.また上皮成分が肉腫の大部分を占めているものは単相上皮型(monophasic epithelial type)と呼ばれる.その頻度は非常に低く,悪性上皮性腫瘍である腺癌などとの鑑別が問題になることがある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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