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増刊号 感染症検査実践マニュアル Ⅵ.感染症とその検査法
16.クラミジア感染症
著者: 松本明1
所属機関: 1川崎医科大学微生物学教室
ページ範囲:P.173 - P.177
文献購入ページに移動Chlamydia(クラミジア)は生きた宿主細胞内でのみ増殖できる偏性細胞寄生性細菌である.細菌である証拠は次の性状による.①環状二重鎖の染色体DNAとmRNA,tRNA,rRNAを持ち,リボソームは70 Sである.②細胞壁(外膜)と細胞質膜(内膜)に包まれ,二分裂増殖する.③抗生物質に感受性である.さらに多くの場合プラスミドを有する.Chlamydia属はChlamydia trachomatis(トラコーマクラミジア),Chlamydia psittaci(オウム病クラミジア),Chlamydia pneumoniae(肺炎クラミジア),Chlamydia pecorumの4種類からなる(図1).C. pneumoniae以外には生物型や血清型がある.C. trachomatis,C. psittaci,C. pneumoniaeの3種がヒトに感染症を起こす.C. pecorumは反芻動物の病原菌であるが,ヒトの感染症例は知られていない.
C. trachomatisは眼感染症や尿路性器感染症の原因菌で,本邦では現在,性感染症(seuxally transmitted diseases;STD)の主要病因菌である.産道感染によって新生児の眼,呼吸器にも感染症を起こす.C. psittaciは国内では主としてペット鳥から伝播するオウム病の病原菌であるが,ヒト-ヒト伝播はほとんどない.
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