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文献詳細

雑誌文献

検査と技術24巻8号

1996年07月発行

文献概要

今月の表紙

ほんとうに収縮線維が細胞運動をさせているの?

著者: 巽典之1 津田泉1

所属機関: 1大阪市立大学医学部臨床検査医学

ページ範囲:P.606 - P.606

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 「煽てれば喜び踊る蛸坊主」じゃないけれど,この表紙シリーズがおもしろいとお褒めの言葉をたくさんの方からいただいたことと,「ホントに収縮蛋白が細胞収縮力を生み出しているの?」との質問があったことから,もう一度その蛋白が運動に関与している証拠写真を出すことにした.収縮蛋白線維を細胞質内で見やすくするために,運動状態にした細胞を軟固定後に,スライディング説を実証したグリセリン筋モデルの手法に倣い,グリセリン処理し,細胞内線維構造を保持するようにし,それにミオシン重鎖溶液と反応させたミオシン結合アクチン線維を見た結果が図示されている.図aは水和性樹脂粒子を貪食させた白血球であり,貪食された樹脂を中心としてみごとな線維塊を観察することができる.このような収縮力はどこから生まれ,どのように細胞変形をきたすのかを見てみた.図bは静止時の球形白血球膜直下の線維配置であって,所々に膜直下に短線維塊があることが認められる.これに対して偽足を出し運動している細胞には,膜-膜結合をしている長い線維束が観察できる(図c).すなわち,短い線維塊が膜活性化により長い線維を形成すると同時に膜をたぐりよせることになる.この結果が膜のラフリング形成となり,ミオシンのATP分解で得たエネルギーをもって強く細胞質を収縮させる,いわゆるスクイーズ(絞り出し)現象を生じさせると考えられる.この考えをモデルで説明したのが図dである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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