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文献詳細

雑誌文献

検査と技術24巻8号

1996年07月発行

文献概要

トピックス

YAC

著者: 青木直人1

所属機関: 1東京都立衛生研究所毒性部病理研究科

ページ範囲:P.668 - P.670

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 染色体は直線状DNAがコンパクトに折りたたまれた形になっており,有糸分裂で2倍になった染色体は分裂した細胞に一組ずつ配分される.このように染色体が安定して複製し,分配されるための装置として,DNAの複製開始点,複製された染色体を分離するための紡錘糸が結合するセントロメア(動原体),染色体の末端にあり,DNAの安定性に関与するテロメア(末端小粒)などが備わっている.これらの3つの装置をプラスミドDNA上に組み込み,数十万塩基対以上にも及ぶDNAを取り込み,酵母内で人工染色体として複製できるようにしたものがYAC(yeast artificial chromosome,酵母人工染色体)であり,遺伝子ライブラリーの作製に用いられる.遺伝子ライブラリーは,細胞遺伝子情報を担う染色体DNAの断片や転写されたメッセンジャーRNA(mRNA)に相補的なDNA(complimentary DNA;cDNA)を満遍なくベクターに組み込んでできた遺伝子組換え体の集まりを指す.遺伝子ライブラリーを作製するためのベクターにはラムダファージ(24kbまでのDNAがクローニング可能),コスミドベクター(35〜45kbのDNAがクローニング可能)などがあるが,YACベクターは他のベクターに比べ組み込めるDNA断片のサイズが非常に大きいという特徴がある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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