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文献詳細

雑誌文献

検査と技術24巻8号

1996年07月発行

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トピックス

白血球接着不全症

著者: 小林邦彦1

所属機関: 1北海道大学医学部小児科

ページ範囲:P.670 - P.672

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 細胞間接着は多細胞生物の組織形成に重要であるだけでなく,血液細胞など流血中の細胞の機能発現にも大きくかかわる.最もよく知られる例は血小板の凝集(接着)障害が出血素因をもたらすことであろう.一方,感染防御や免疫反応にかかわる白血球成分にも細胞接着がその機能発現上重要であることは近年の白血球粘着不全症(leukocyte adhesion deficiency;LAD)の発見で明らかになった1).この疾患の白血球(主に好中球)は組織細胞と接着がないため組織上を移動できないという特徴がある.
 一般に細胞間接着は細胞膜上に発現されるレセプター蛋白とその結合対手(リガンド)との可逆的な結合反応で起こる.LADはβ2インテグリンというレセプター型接着分子の欠損症として発見されたが,最近セレクチン型レセプター分子の結合異常でも臨床的かつ白血球の機能異常の点でもLADに酷似する疾患が報告された2).このためβ2インテグリン欠損をLADタイプⅠ,セレクチン結合異常をLADタイプⅡと呼ぶことが提唱されている.両疾患の存在は,白血球の機能発現には2つの異なるレセプター型接着分子による細胞間接着がともに必要であることを意味する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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