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文献詳細

雑誌文献

検査と技術24巻9号

1996年08月発行

文献概要

今月の表紙

血球凝集

著者: 巽典之1 片上伴子2

所属機関: 1大阪市立大学医学部臨床検査医学 2大阪市立大学附属病院中央臨床検査部

ページ範囲:P.736 - P.736

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 血球を暗視野顕微鏡で観察すると顆粒球はキラキラと輝いて動く.血球数が多いと,まるで夜空の星の瞬きかと思うほどである.他方,位相差顕微鏡で観察すると,白血球は細胞運動だけでなく核・核膜・核小体・ミトコンドリア・顆粒の形や雲丹殻のような顆粒配列が細かに観察できる.血小板内も顆粒のブラウン運動がきれいに観察しうる.そしてロマノフスキー顕微鏡では名も付いていない小顆粒がリンパ球内に見えたりする.生の標本は染色標本とは異なる面を示し,顕微鏡を眺めていると,その美しさに時の経つのを忘れてしまうほどである.
 さて,血球凝集として最もよくみられるのは赤血球連銭形成(図a)であり,血小板凝集(図c)であろう.前者は赤血球凝集(図b)とは異なり,表面荷電によるγ-グロブリン高濃度で増強され,血液を数日保存することで観察されなくなる.連銭形成は血球計数器内でのチャンネル中での流力で解離するほどの弱い結合である.血小板凝集は,採血操作時の血小板活性化の結果であったり,免疫学的機序により生じるもので当然のことながら血小板数の偽低値が生ずる.血小板サテライト凝集(図d)や,主として好中球凝集の形でみられる白血球凝集(図e)は免疫学的機序の関与が考えられているものの定説であるとはいいがたい.白血球凝集はEDTA血の血漿・血球層の界面に肉眼的微細塊として観察できることが多く,患者病像と白血球数が合わないときには考慮すべき事象である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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