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文献詳細

雑誌文献

検査と技術24巻9号

1996年08月発行

文献概要

トピックス

ペスト菌の細菌学的特徴と薬剤感受性

著者: 辻明良1

所属機関: 1東邦大学医療短期大学

ページ範囲:P.773 - P.775

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■ペストの流行
 1994年8月,インド西部の異なる地域でペストの流行が起こったという報道は,全世界にパニックを引き起こした.過去のペストの大流行は3回記録に残っている.その1回が紀元前3世紀より紀元前1世紀におけるエジプト,エチオピアでの流行で,約1億人が亡くなり,多くの町が全滅した.14世紀に起こった第2の流行は黒死病として知られ,中央アジアからヨーロッパに起こっただけでおよそ2,500万人が犠牲となった.第3回目の流行は1894年に中国雲南省に端を発し,香港に達して,さらにインド,南アフリカ,北アメリカ,日本にも及び,特にインドでは1,000万人が犠牲になっている.このとき,北里およびYersinはそれぞれ単独にペスト菌を発見し,1897年,緒方らによりこの疾患が元来はネズミの間の伝染病で,ノミによりヒトに媒介されることを明らかにした.その後,1958年から1979年までの間に,全世界でおよそ47,000例のペストが,1989年には11か国から770例のペストが報告されている.また,1992年のWHOの報告では1,758例のヒトペストで198名が死亡している.日本では明治23年から昭和元年(1926年)までに,香港台湾,インドから船舶により患者,ネズミが数十回にわたり持ち込まれ,毎年ペストネズミと患者の発生がみられたが,それ以来,現在までペストの発生はない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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