文献詳細
文献概要
技術講座 血液
尿中単核球の表面マーカー染色
著者: 宿谷賢一1 難波満喜1 中竹俊彦2
所属機関: 1杏林大学医学部附属病院中央臨床検査部 2杏林大学保健学部臨床血液学
ページ範囲:P.841 - P.846
文献購入ページに移動尿沈渣は腎および尿路系疾患のスクリーニングとして古くから施行されてきた検査方法である.成分の観察はrisk free renal biopsyなどとも呼ばれ,腎生検に匹敵する情報が得られる.腎生検は患者リスクが大きいことが問題となる.
尿沈渣をフローサイトメトリーにより詳細に解析する検査法が検討されつつある.フローサイトメーターによる検査は血液細胞のみではなく,すでに組織・髄液・骨髄・体腔液・気管支肺胞洗浄液などにある細胞の解析に用いられている.尿沈渣への適用については,現在,好中球の殺菌能の測定やリンパ球の表面マーカーの解析が行われているが,臨床的な知見を含め,蓄積中の段階である.しかしながら,フローサイトメー夕ーがもたらす解析結果は種々の検査材料ですでに証明されており,本法による尿中細胞の解析が腎および尿路系疾患の治療効果,病態の把握に利用されることが期待される.
掲載誌情報