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癌の薬剤耐性機構
著者: 竹村譲1 小林広幸1
所属機関: 1防衛医科大学校検査部
ページ範囲:P.871 - P.874
文献購入ページに移動1950年代に代表的な代謝拮抗性抗腫瘍剤メソトレキセートが開発されて以来,癌の化学療法は長足の進歩を遂げてきている.しかし,近年,抗癌剤の長期使用による癌細胞の薬剤耐性化の問題がクローズアップされるようになってきた.このように,抗癌剤の使用後に耐性が発現する場合を獲得薬剤耐性(acquired drug resistance)と呼び,それに対して初回治療時でも癌が薬剤に抵抗性を示す場合を自然耐性(natural drug resistance)と分けて呼んでいる.
多剤耐性黄色ブドウ球菌(multidrug-resistant Staphylococcus anreus;MRSA)のように,癌においても1つの薬剤に耐性化すると,化学構造や作用機序のまったく異なる抗癌剤にも耐性を示す多剤耐性(multidrug resistance;MDR)現象が知られている.最近,分子レベルでの癌の薬剤耐性機序が解明されてきて,分子生物学的手法を用いた癌の薬剤耐性因子検出法が臨床検査として応用できる段階まできている.
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